素材と向き合うことからはじまる、アカシエのお菓子づくり
アカシエのお菓子づくりは、「素材の声を聴くこと」から始まります。パティシエには、自分の世界観ありきで素材を合わせるアプローチもありますが、私たちは逆。目の前に届いたイチゴを見て、「これから何ができるだろう」「この良さを一番活かすためには、どんなクリームが合うだろう」と考えていく。主役はいつも素材なのです。
その姿勢は、全国の農家さんとの深いパートナーシップに支えられています。地元埼玉の苺や栗をはじめ、 沖縄のパイナップル、長野のブドウ、山梨の桃、愛媛の柑橘、宮城 、鹿児島、北海道…。シェフは自らシーズンに合わせて産地へ赴き、農家さんと顔の見える関係を築いてきました。旅行がてらお店に寄ってくださる農家さんもいて、もはやビジネスの枠を超えた絆です。
中でも特別なのが、埼玉県産のプレミアムイチゴ「あまりん」。まだ誰も知らなかった9年前から農家さんとお付き合いがあり、今では他店では真似のできない量を融通していただいています。その分、「あまりん祭」などのイベントを通じて、もっとあまりんの美味しさや魅力を知っていただきながら、お客様に還元する。アカシエにしか提供できない美味しさは、こうした一つひとつの素材との物語から生まれているのです。
認めて伸ばす。プロとしての土台を育む教育
アカシエでは、育成において大事にしていることがあります。
一つは、「褒めて伸ばす」ではなく「認めて伸ばす」という考え方です。「褒める」という言葉は、どうしても上下関係のニュアンスが含まれます。真剣に何かに打ち込んでいる人にとって、親が子を「褒める」かのように頭を撫でられる評価は、必ずしも嬉しいものではないと感じています。だからこそ、本当に努力している人に対しては、「よくできたね」の一言ではなく、工夫や考え、存在意義を、同じ目線で認めるということを大事にしています。そのため、アカシエでは、若手一人ひとりの気づきや発想を、すかさず拾って正当に評価することを大切にしています。
もう一つが、配属の考え方です。パティシエを志望して入社しても、1年目は販売として活躍していただくことがあります。これにはとても重要な意味があります。どんなお客様が、どんな気持ちでケーキを買っていくのか。春のギフトシーズン、夏の暑さで来店が減る時期、食欲の秋。お客様の動きを肌で感じるからこそ、「今はこんなケーキが喜ばれそう」「こういうお菓子もあってもいいんじゃないか」という発想が生まれ、本当に喜ばれるお菓子がつくれるようになるのです。
そこから得られるのは、技術より重要なお客様のニーズ。その経験こそが、パティシエとして歩んでいく確かな土台になるのです。
想いの循環が、最高の「美味しい」を生み出す秘訣
私たちが何より大切にしているのは「人間力」であり、その根幹にあるのが「思いやり」の心です。それは、機械的に作業をこなすのではなく、人の心の通った仕事をすること。例えば、材料を届けてくれる農家さんや業者さんに、私たちは「ご苦労様」ではなく、必ず「ありがとうございます」と伝えます。イチゴを育てる人、牛の乳を搾る人、それを運ぶ人。誰一人が欠けてもこのケーキは完成しません。業者、製造、販売、そしてお客様へと続く「想いのバトン」を繋ぐことこそが、私たちの使命なのです。
この想いを深める場のひとつに、毎年おこなっている「社員旅行」があります。農家さんを訪ねて、その苦労や情熱に触れ、みんなでバーベキューを囲み、幹事が企画したクイズやゲームを全力で楽しむ。この企画を2年目の若手が任されるのも、自分たちで考えて、学びと成長の機会にするためです。
また、仲間の誕生日には、他の社員が本気で構成を考え、バースデーケーキを作って全員で試食し、評価し合っています。ただのお祝いで終わらせず、仲間の技術を認め合い、フィードバックし合うことでさらに絆を深めています。
失敗を恐れず挑戦し、ミスがあれば隠さず報告し、みんなでフォローし合う。そんなクリーンで温かな関係性があるからこそ、お菓子を通じてお客様に幸せを届けることができる。アカシエは、そんな「想いの循環」を大切に積み重ねている場所です。
