「このパン、食べてみたい!」
お客様にそう思ってもらえる商品が誕生する背景には、アイデア、試作、フィードバック、改良と、たくさんの工程が積み重ねられています。
今回は、毎月全社員を対象に新商品開発を行っている「株式会社サニーサイド」を訪問。
若手ブーランジェの商品開発に密着し、一つのパンが店頭に並ぶまでのリアルを追いました。
若手ブーランジェの商品開発に密着し、一つのパンが店頭に並ぶまでのリアルを追いました。
お話をうかがったのは……
サニーサイド南千里本店 磯村さん(2025年入社:辻調理師専門学校卒業)
1年目から「自分のパン」を提案できる環境
私は「1年目から商品開発に挑戦できる」という環境に惹かれて、サニーサイドに入社しました。実際、入社1カ月目に提案したパンが商品化され、それ以降毎月商品開発に挑戦しています。
印象に残っているのは、高加水生地のフォカッチャの開発です。講習会で高加水パンのおいしさに驚き、「自分でも作ってみたい」と思ったことがきっかけ。生地から考える商品開発は初めてで、粉の分量を1パーセントずつ調整し、約1カ月かけて完成させました。
店頭に並ぶと、お客様から「定番にしてほしい」と言っていただけるほど好評で、その後もアレンジをしながらシリーズ商品として開発を続けています。
店頭に並ぶと、お客様から「定番にしてほしい」と言っていただけるほど好評で、その後もアレンジをしながらシリーズ商品として開発を続けています。
商品開発は“お客様を知る”ことから始まる
商品開発をするとき、私がまず考えるのは「この店舗のお客様は、どんなパンを求めているのか」ということです。入社後に2つの店舗を経験し、お客様の好みは店舗ごとに大きく異なることを実感しました。
例えば、大阪城近くの「大阪なノにわ店」は、新規のお客様や外国人のお客様も多く、少し目新しい“おしゃれなパン”が反応を得やすい。一方、南千里本店は比較的年齢層が高く、あんこやクリームなど、親しみのあるパンが好まれる傾向があります。
実際に商品を考える際は、お客様のトレーにどんなパンが入っているのかを見たり、販売スタッフに反応を聞いたりしながら、その店舗ならではの好みをつかむようにしています。
アイデアを商品にする視点
次に考えるのは、「どうすれば商品として成立するか」ということです。「オリジナリティはあるか」「季節感はあるか」「サニーサイドでしか食べられないパンになるか」「原価のバランスはどうか」「再現性はあるか」という視点を大切にしながら、商品として磨いていきます。
今回、私が考えたのは「枝豆と照り焼きの卵ロール」。照り焼きパンはコンビニなどでは定番の商品ですが、サニーサイドの店舗では意外と少ないジャンルなので「ありそうでない定番」を作ってみたいと考えました。
また、季節感のある食材として候補に挙がったのは、枝豆とアスパラです。枝豆を選んだのは、彩りや食感をプラスできるだけでなく、上からかける海苔との相性もよかったから。アスパラは水分が多く、照り焼きの味がぼやけてしまうと感じ、最終的に枝豆に決めました。
コンビニエンスストアのパンも年々クオリティが上がる中、“パン屋ならではの魅力が伝わる”商品開発が、今後ますます重要になっていくと感じています。
人生の「食」の記憶も、開発のヒント
普段からSNSで流行りのパンを見たり、旬の食材をチェックしたりと、開発のヒントを収集しています。ただ、今回の組み合わせのきっかけになったのは、意外にも小学校の給食の記憶でした。「ごぼうとチキンの照り焼きソース」というメニューがおいしかったことを思い出し、「これはパンにも使えるのでは」と思ったんです。
私は子どものころから食べることが大好きで、おいしいと感じた味や印象に残った組み合わせが、記憶に残りやすいタイプです。料理でもパンでも、味だけでなく食感や組み合わせまで覚えていることが多いですね。今回のように昔の思い出がヒントになることもあれば、普段食べているものの中から「この食材はパンに合いそう」と発想が広がることもあり、商品開発に大いに役立っています。
試食会は、もう一つの開発現場
試作をしたパンは、味や見た目、食べやすさなどを確認しながら、試食会でみんなの意見をもらい、少しずつ完成度を高めていきます。
今回、試食の場で課題になったのが、卵サラダと照り焼きチキンのバランスでした。先輩たちからは、「卵サラダが多いとチキンの存在感が弱くなる」「少なすぎると普通の照り焼きパンの印象になってしまう」といった意見が上がり、どちらの味もしっかり感じられる“ちょうどいい割合”を探りながら調整を行いました。
試食会では、味だけでなく「この値段で買いたくなるか」「見た目のインパクトはあるか」といった、商品としての視点からも意見が出ます。周りの意見を取り入れながら、より良い一品へと磨きをかけていくことも、商品開発に欠かせない大切なプロセスです。
最後のクオリティを決めるのは、「伝える力」
いよいよ商品化が決まったら、レシピを作成して作り方をみんなで共有します。営業中は限られた時間の中で、何十個、何百個と作らなければなりません。レシピを書く時も、分量や焼き時間、工程だけでなく、盛り付け方や仕上がりのイメージまで、できるだけ細かく伝えるようにしています(私は絵が苦手なので、得意な人に手伝ってもらいます笑) 現場で同じクオリティを再現できて、初めて商品として店頭に並べることができます。
まとめ
商品開発は、楽しくて華やかな仕事に見えるかもしれません。でも実際には、仕事をこなしながら必死に試作の時間をつくり、調整を重ね、完成度を高めていく、地道な積み重ねの連続です。
仕事が終わってから試作をしたり、休日に研究をしたりすることもありますが、それは自分が選んでしていること。そして、将来独立するために選んだ環境なので、サニーサイドだからできること、学べることを、できるだけたくさん吸収したいと思っています。
忙しくても挑戦したくなる環境があること、頑張りをしっかり見てもらえることはとてもありがたく、励みになっています。皆さんも就職する会社を選ぶときは、「やりたいことができるか」だけでなく、「その環境で自分が本気で挑戦できるか」という視点も大切にしてみてください。一緒に頑張っていきましょう!
