昨年以降、コロナ禍で飲食業界は長く苦境に陥っている中で、栄養士や管理栄養士や調理師やパティシエを育成する専門学校として、創立80年以上の歴史を誇る食糧学院の今春の就職希望者の就職率は100%を達成しました。
今回は同校副学院長の馬渕知子氏に高い就職率を支える、食糧学院独自の教育方針をはじめ、実践的な指導方法の内容について伺いました。また、これから飲食業界を目指す学生たちに対して、ご自身の経験を通じた未来へのメッセージをいただきました。
学校法人食糧学院 副学院長 医師 理事 教授
マブチメディカルクリニック 院長
馬渕知子氏
(プロフィール)
1977年生まれ。東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。
2008年にマブチメディカルクリニックを開設、2011年に学校法人食糧学院の理事、さらに2017年に副学院長に就任して現在に至ります。
内科学・皮膚科学を専門にあらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進しています。
今回は同校副学院長の馬渕知子氏に高い就職率を支える、食糧学院独自の教育方針をはじめ、実践的な指導方法の内容について伺いました。また、これから飲食業界を目指す学生たちに対して、ご自身の経験を通じた未来へのメッセージをいただきました。
学校法人食糧学院 副学院長 医師 理事 教授
マブチメディカルクリニック 院長
馬渕知子氏
(プロフィール)
1977年生まれ。東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。
2008年にマブチメディカルクリニックを開設、2011年に学校法人食糧学院の理事、さらに2017年に副学院長に就任して現在に至ります。
内科学・皮膚科学を専門にあらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進しています。
―――――――――新型コロナウイルス感染症で苦境に立つ飲食業界において、食糧学院は就職率100%(*就職希望者)を 達成したそうですね。その要因はどこにあるのでしょうか?
【「栄養×調理」双方の知識を実践的に学べる点において、業界内で高く評価されている】
食糧学院は昭和14年の創立以来、今年で82年の歴史があることから、当学院の卒業生が数多く飲食やサービス業界を中心に活躍しています。
その幅広い人脈や知名度、豊富な実績を活かせることが、まず一つの大きな理由。
また当学院は、大きく管理栄養士や栄養士を育成する「東京栄養食糧専門学校」と、調理師を育成する「東京調理製菓専門学校」の2校を運営しています。
そのため栄養と調理、2つの分野において専門的な知識やスキルを組み合わせて習得できる環境が、当学院ならではの大きな強みとなっています。
例えば、栄養面で健康に配慮した食材を組み合わせつつ、見た目やおいしさといった調理面を加味することによって、「体にいいものをおいしく食べたい」という時代のニーズにマッチしている点が大きいと思われます。
特に最近では食品メーカーのレシピ開発等において、同校で学んだ知識を活かせる機会が多いことから、メーカーへの就職も増えています。
例えば、学生自身が当学院の調理校を選ぶ際、「どこでもいいから飲食業界で働きたい」という理由ではなく「〇〇のお店で活躍したい」という明確な目的やこだわりを持って入学する割合が高いため、高い学習意識を持って日々学び、成長しています。
その結果として、このコロナ禍の大変な時期においても「就職率100%」を実現できたのだと思いますね。
その幅広い人脈や知名度、豊富な実績を活かせることが、まず一つの大きな理由。
また当学院は、大きく管理栄養士や栄養士を育成する「東京栄養食糧専門学校」と、調理師を育成する「東京調理製菓専門学校」の2校を運営しています。
そのため栄養と調理、2つの分野において専門的な知識やスキルを組み合わせて習得できる環境が、当学院ならではの大きな強みとなっています。
例えば、栄養面で健康に配慮した食材を組み合わせつつ、見た目やおいしさといった調理面を加味することによって、「体にいいものをおいしく食べたい」という時代のニーズにマッチしている点が大きいと思われます。
特に最近では食品メーカーのレシピ開発等において、同校で学んだ知識を活かせる機会が多いことから、メーカーへの就職も増えています。
例えば、学生自身が当学院の調理校を選ぶ際、「どこでもいいから飲食業界で働きたい」という理由ではなく「〇〇のお店で活躍したい」という明確な目的やこだわりを持って入学する割合が高いため、高い学習意識を持って日々学び、成長しています。
その結果として、このコロナ禍の大変な時期においても「就職率100%」を実現できたのだと思いますね。
―――――――――同学院では普段、どのようなことを重視した教育を行っているのでしょうか?
【コロナ禍でもいち早く対面授業を再開。実習を重視して、人間同士のふれあいを大切にする】
当学院では「創造と科学と実践の教育」を教育の基本指針とし、特に実習教育を重視しています。
昨年春、新型コロナウイルス感染症の影響で当学院でも4~5月に関してはオンライン授業に切り替わりましたが、6月以降は対面授業を再開。
感染症対策を徹底することで、これまで当学院が原因となって感染した学生はいません。
対面授業では科によって週3日は丸々、調理実習等に費やしているので教育の密度が濃く、学生にとってはかなり大変だと思います(笑)が、生き生きと充実した顔ばかりです。
私自身も教壇に立って授業を行いますが、その中で常に大事にしているのは「学生の印象に深く残る授業をする」ということ。
教科書に載っている内容をそのまま説明するのではなく、生活の身近な例を出すことで教えていることに親しみを持ってもらうように努力しています。
例えば「心臓の役目だけではなく、心臓が悪い場合はこんな栄養・調理が大事だよ」とか「生活に必要な塩分濃度を無理なく美味しくどうやって取り入れていくか」などについて、調理実習と講義を密接に連携させながら、より実践的な知識を習得してもらうことでこの先、就職してからも長く役立つように教えています。
その上で講師と生徒、さらに生徒同士のふれあいを大切にすることによって、挨拶や相手に対する気遣いなど社会的なマナーを身につけてもらうことも気をつけています。
―――――――――馬渕先生は医師でありつつ、栄養学に興味を持ったのは何か理由があったのでしょうか?
【人によって同じ病気でも治り方が違うことに興味を持ったのがきっかけ】
母方の家系が代々医師だったこともあり、物心つくころから将来、医師になることを自然と目指していました。
そして大学病院に医師として勤務していた時、大きな疑問が生まれたのです。
それは「同じ病気をしているのに、人によって治り方や完治する時間がまったく違うのはなぜ?」ということ。
原因を追究してみると、食べるものが治り方に大きく影響していることがわかったんです。
そこでゼロから栄養学について真剣に学んでみようと考えました。
また医学と栄養、双方の知識を活かして社会に役立つことができると考えたことが栄養学を学んだ大きな理由です。
今、こうして栄養学に関して学生をはじめ、企業や地域社会に教える立場になっていますがこれまでの経験上、人生の1~2年程度、栄養や調理について学ぶことはその後の生活や健康に大いに役立つので、誰に対してもおすすめです。
私自身、今では無意識に健康に良いメニューを選んだり、食べ方を工夫したりするほど、生活に一部に栄養学の知識やノウハウが溶け込んでいますね。
私自身、今では無意識に健康に良いメニューを選んだり、食べ方を工夫したりするほど、生活に一部に栄養学の知識やノウハウが溶け込んでいますね。
―――――――――馬渕先生が主導して今年からスタートした「健康スイーツ研究科」について教えてください。
【食のバリアフリーを追求し、誰もが楽しくスイーツを楽しめる世界へ】
基礎疾患があったり、またお子さんを中心に様々なアレルギーを持っていることから、私たちが普段何気なく口にしているスイーツを食べられない人が特に近年増え続けています。
一方、「グルテンフリー」などアレルギー物質を一切使用しないスイーツなども近年、徐々に増えてきてはいますが、正直なところ味として「おいしくない」という大きな課題があります。
つまり現状は一般の方と、食事制限を強いられる方との間に「食の格差」が生まれているのです。
この格差をなくして「食のバリアフリー」を実現したいという想いが今年度、健康スイーツ研究科が生まれた大きな目的です。
健康スイーツ研究科では、例えばビーガンを研究している方を講師として招き、「卵や牛乳、バターなど動物性の食材をまったく使わず美味しいケーキ」の実習をしたり、食品企業の方を招き、「寒天でも食感がよく、おいしいババロアが作れるレシピ」等々、調理実習を通じて学ぶことができます。
これとは別になりますが、ビタミンやミネラル、スーパーフード等の栄養素をたっぷり含む食材を活用した健康スイーツを飲食業界の企業とコラボして研究し、実際に販売する取り組みも行っている同好会もあります。
実は当学院の学生が試作研究を繰り返し、喫茶店で有名なルノアールにプレゼンしたスイーツの商品化が決定し、この秋から店舗で販売される予定になっています。
このような「産学コラボ」にも力を入れることによって、授業で取り組んだ成果が社会に役立つ実践的なノウハウを学べる機会を作っています。
―――――――――食糧学院では「池尻マルシェ」という活動にも力を入れているとお聞きしましたが。
【全世代に正しい食育を。糖化度測定で正確な健康状態を把握】
当学院が創立された戦前は、国民の体位向上や栄養改善、健康増進など当時の時代背景の元に、食の専門指導者を養成する目的がありました。
翻って現代、栄養のあふれた今必要とされているのは、若い人から年配の方まで各世代に合った「正しい食育」を伝えることだと考えます。
食育というと若い人を対象にしがちですが、高齢になると固い食べ物や肉などを摂取しなくなるため、健康維持に必要なたんぱく質不足に陥りやすくなるという課題があります。
そこで、例えば高齢の方でも手軽にたんぱく質を取りやすい食材や食べ方等を「池尻マルシェ」をはじめとした、地域交流の場で定期的に開催。
皆さんあまり知らないかもしれませんが、生卵と温泉卵で比較した場合、実は温泉卵の方が生卵よりもたんぱく質を消化吸収しやすいというデータがあるのです。例えばこうした調理方法の工夫や豆知識を教えたりしています。
またこれもあまり世間では知られていませんが、「糖化度測定」という健康測定も定期的に実施しています。
摂取した糖の内、とりすぎた糖が血液内でタンパク質と「へんせん」を起こすことで老化だけではなく糖尿病や高血圧、腎臓病などの生活習慣病を引き起こしたり合併症を招く大きな原因と考えられています。
そこで地元の方を対象に、定期的に身体の糖化度測定を行うことで毎日の食生活のアドバイスに加え、今後の生活習慣病などの予防に繋げていただくことを支援しています。
他にも学生が作った当学院オリジナル商品や地域の採れたて野菜を販売するなど、食と健康を通じた地域貢献を行っています。
―――――――――最後に、これから調理師や栄養士を目指す学生にメッセージをお願いします。
【一人にならないでほしい。誰かとコミュニケーションを取ってほしい】
コロナ禍が続く今、様々な制約があると思いますが「自分の時間ができた」と前向きにとらえて、自分磨きに時間を当ててほしいと思います。
語学でも、調理でも、絵でも何でも構いません。
そしてもう一つ、お願いしたいのは「決して一人きりにならないでほしい」ということ。ネット上でも構いませんので、友人とコミュニケーションを取って、何でも話しあえる関係を持ってほしいと思います。
学生時代に築いた人脈は就職後や将来、必ず役立ちます。
仮にコロナ禍で自分の目指す職につけなくなった方には、例えば2年間栄養士の勉強をするのもお勧めです。
一見遠回りしているようでも、私のようにゼロから栄養学を学ぶことで新たなキャリアを切り拓くことも可能なので、決してその2年は無駄な時間にはなりません。
もし迷ったり悩んだときには、学校の先生をはじめ、とにかくいろんな人に頼ってほしい。相談すればきっと応えてくれますし、「相談した先生の先輩が、自分が目指しているお店のオーナーだった」ということもあり、そこから新たな道が切り拓かれることもあります。
どんな小さなことでも、まずは行動を起こしてください。